バレンタイン。
それは世の中の女性がこぞって自分の思い人にチョコレートという媒体を介して、秘めた思いを伝える日。 男は男で、本命チョコはもらえないか、また例え義理チョコでももらえはしないかとそわそわし続ける日だ。
榛名元希も、例外ではない。数日前から、彼女からもらえはしないかとそわそわ、そわそわ。あのポーカーフェイスのうまい榛名が、と秋丸が呆れるほど――いや、秋丸の場合は中学の頃から一緒にいるからこそわかるのもあるのだが。

「ねぇねぇ榛名くん、榛名くんはチョコとか…どんなのが好き?」
「あ?興味ねーつか甘いの嫌いだから」
「そ、うなんだ…」

他は興味ない。彼女のチョコが欲しい。けれども自分からくれというのも癪だし、まさか言わないでチョコがもらえるとも思えない、それがという女だ。榛名が、クラスメイトに話しかけられてるのをみたのか、が近付いてきた。

「榛名は、もてるね」
「あぁ?興味ねーよ」

お前以外の女なんか。そう心の中でつけたして、ふと隣に立つを見上げる。淡々とした表情。彼女もそれなりにポーカーフェイスがうまいのを知っている。よっぽどことでなければ表情を変えないことも。 ここで会話を切らせるのもなんだかもったいない気がした榛名は、まだが立っていることを確認して、言葉を続ける。

「おめーはどうなんだよ」
「うん?なにが?」
「…バレンタイン、」

誰かにチョコやるのか、とか本命チョコ渡すやついるのか、とかむしろ本命チョコをオレにくれ、とか。そんな女々しいと思うことなんて言えるわけなく途中で言葉尻を切ると、の視線が少しだけ動いて元に戻った。

「興味ない、」
「ふん。女はみんなちゃらちゃら騒ぐんぢゃねぇの」
「そういうの鬱陶しいだけなんでしょ」
「そうだな」

そんなこといいたいわけぢゃないのに。あーあーあーあーオレのバカ。伏せた視線の先になにが見えているのか。さらりと額からこぼれた前髪に、やっぱりチョコレートが欲しいという思いが強くなる。限定で。






急性チョコレート中毒




それは毎年のことだ。毎年のことなのだ。あの女が自分のことなど眼中にないことは。
男にもバレンタインのような思いが伝えられる特別な日があればいいのに。



























20080222
Dolceさん提出。
親愛なるぽっつんより「女々しい榛名さん^^」のリクいただきました笑。




[素敵小説提出ありがとうございました!! *Dolce/雛形]