「さて、西浦高校硬式野球部員正捕手の阿部隆也くんに問題です。コンペイトーって漢字でかけますか」
「は?なんでコンペイトー?」
「…なんとなくだよ」
「嘘をつけ嘘を」
「…実はさっきまで、9組にいって三橋くんと田島くんと泉くんと喋ってたんです。そんで、田島くんが、小さい頃駄菓子大スキだったんだって。で、わたしはコンペイトーがスキだったなあっていったわけ」
「で、泉あたりに「じゃあ、コンペイトーって漢字で書けるか?」っていわれたんだろ」
「大正解」

びしっとわたしは親指を立てる。阿部は呆れ返ったような顔をして、「ばかじゃねえの」と呟いた。いや、確かにばかですけど、ばかですけどさ、もっと優しくいえないのかきみ!阿部にはデリカシーというものがないのか!と罵ってやりたい気分だったが、それを何とかこらえきってはなしを続けた。

「でね、わかんないってわたしは正直に言ったわけよ。で、わたしはみんなに聞き返した。「じゃあ、わかんないからコンペイトーって漢字で書いて教えてよ」って。そしたら、まあ三橋くんと田島くんは置いといて、泉くんも知らないっていうの。えー、じゃあ聞くなよって話しなんだけどさ、泉くんは「誰か知ってるやついねえの?」っていったわけ。だから、わたしは阿部に訊きにきたの」
「ああ。だからあいつら花井にたかってんのか」
「ザッツ・ライト」

阿部はかわいそうなものを見るような目で随分離れたところにいる花井くんたちをみた。オープンにエロい発言している田島くんをおもりする花井くん、かわいそう。阿部はかわいそうなものを見るような目をしたままいった。「ばかだなあいつら」かわいそうなものを見るような目じゃなかった。ばかにしている目だった。花井くん、どんまいです。田島くん、もう勘弁してやってください。

「キャプテンも大変だよね…」
「しゃーねーだろ。あーゆー性格なんだし」
「阿部酷い」
「うるせえ」

むすっと顔をしかめる阿部。切れやすい16歳ですね。わたしはぐったりと机によりかかる。そしてため息。「あー甘いもの食べたい」

「甘いもん?」
「吐き気がするくらいめちゃくちゃ甘くて、飲み込めないくらい甘ったるいものたべたい」
「頭いかれた?」
「失礼な。わたしはいつでもどこでも正常です」
「あっそ」
「なにそのどうでもよさそうな言い方!」

確かにどうでもよさそうなことだけど、どうでもいいですけどさ、そんなに態度に表すことないと思うぞきみ!性格悪いなあ西浦高校硬式野球部員正捕手の阿部隆也くん!わたし、は少しばかり絶望しましたよ!体のいたるところにある穴すべて残さず毛穴と化してしまえ!

「あ、俺あめ持ってる。コンペイトー」
「え、うそ」
「マジ。ほら」

コンペイトーの入ったカラフルな袋を取り出す西浦高校(略)阿部隆也くん!なんてミラクル!なんて偶然!いや、人はこれを必然とも呼ぶだろう!

「ちょーだい」
「なんで?」
「な、なんでって…」

口ごもるわたしを見て、阿部はニヤリと意地悪そうに笑う。そして、「わかった、やるからアーンしろ」と馬鹿なことをぬかしやがった。そんなこと出来るわけもなく「じゃあいらないよ!」とわたしは怒鳴る。阿部は意地悪そうな笑みを一層濃くして、「しょうがねえな」といって、わたしのほうへ手を伸ばした。阿部の右手は逃げようとしていたわたしの腕を掴み、左手は鼻をつまんだ。

「あべ!」

と叫んだが最後、阿部はわたしの口にコンペイトーを放り込んだ。しかも、なんと、いうのもはずかしいのだが、口移しで。

「ん、?む、!」

ここは1年9組の教室の中で、昼休みで、人が沢山いますよね。花井くんや水谷くんや田島くんや三橋くんや泉くんや千代ちゃんがいるわけです。そして地球は公転して自転してるわけです。ここにいるのはわたしと阿部だけじゃなくて、65億人はいるわけです。しかし、いまわたしがいいたいことはひとつです。

なに考えてんだ阿部えええええええええええええええええええええええええええええええ

「死んでください。お願いだから死んでください。あなたを殺してわたしも死にます」
「まあまあ。照れんなって」
「照れてねーよ!」
「キャラがちげえよ」

もう、どうしよう。あしたからわたし、学校これません。

「どうだ、死ぬほど甘いだろ」
「…甘い、死んで欲しいほど甘いね」



かがやけ



 金平糖!





080119//(「あれ?結局コンペイトーってどうかくんだ?」)(Dolce*さまに提出


[素敵小説提出ありがとうございました!! *Dolce/雛形]